産業廃棄物収集運搬業許可とは?
一言でいうと、産業廃棄物を他人(排出事業者)から委託を受けて、処分場まで運ぶときに必要な許可です。委託せず、自分自身で処分場まで運ぶ場合は必要ありません。
許可には、大きく産業廃棄物収集運搬業許可と特別管理産業廃棄物収集運搬業許可があり、取り扱う廃棄物の種類・特性に応じて、それぞれの許可を取得する必要があります。
また、許可は廃棄物を積む場所と降ろす場所、両方の自治体で取得する必要があります。このとき、途中通過するだけの自治体の許可は必要ありません。
例えば、群馬県内の会社で回収した産業廃棄物を群馬県内の処分場まで運搬する場合、必要なのは群馬県の許可のみですが、東京都で回収した産業廃棄物を群馬県の処分場まで運搬する場合、東京都と群馬県の許可が必要となります。途中、通過するだけの埼玉県の許可は必要ありません。
産業廃棄物収集運搬業は、日本の「静脈産業」を支える重要な役割を担っています。
許可までの流れ
(特別管理)産業廃棄物収集運搬業許可申請の基本的な流れです。
①講習会の予約・・・「公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター」が実施する講習会の予約を
行います。講習会は、新規や更新など区分がありますので、注意が必要です。
当事務所に業務をご依頼いただいたお客様は、当事務所にて予約をお客様に
代わり行うこともできます。
また、講習会は誰でも受講できますが、許可申請を行うには代表者または役員
の方が受講し、講習を修了する必要があります。
②講習会の受講・・・収集運搬業許可の場合、新規は2日間、更新は1日講習が行われます。
講習後には講習内容に関する試験があり、これに合格して修了となります。
③申請書類の作成・・・申請書の作成および添付書類の収集を行います。添付書類には期限がありま
すので注意が必要になります。
④申請日時の予約・・・電話にて申請日時の予約を行います。
⑤窓口にて申請・・・予約の日時に申請窓口に出向き申請を行います。この時、申請手数料の納付を
行います。
⑥審査・・・申請者が許可基準に合うかどうか、財務状況や役員等の犯罪歴の有無、事業計画の内容
などの審査が行われます。審査期間は、各都道府県により違います。
⑦許可証の交付・受取り
★業務のご依頼をいただいた場合、青字の部分については、当事務所にて代行して行います。
産業廃棄物とは?
廃棄物は、大きく「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2つに分けられます。そのうち「産業廃棄物」とは、法令で定められた20種類の廃棄物のことを指します。
つまり、20種類の廃棄物に当たらなければ「一般廃棄物」となります。
また、産業廃棄物の中でも”爆発性、毒性、感染性その他の人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状をもつ産業廃棄物”は、「特別管理産業廃棄物」として規定され、必要な処理基準を設け、通常より厳しい規制がかけられています。
許可・申請の種類
取得しなければならない許可は、取り扱う廃棄物によって異なります。
・産業廃棄物収集運搬業許可
法令で定められた20種類の廃棄物を収集運搬するときに必要な許可です。
20種類の廃棄物
燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、鉱さい、がれき類、ばいじん、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、動物系固形不要物、動物のふん尿、動物の死体 (※)
以上の産業廃棄物を処分するために処理したもので、上記の産業廃棄物に該当しないもの
(コンクリート固型化物など)
(※)この色で記載されたものは、排出元の業種が限定されています。
・特別管理産業廃棄物収集運搬業許可
爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物で、必要な処理基準を設けられており、通常の廃棄物よりも厳しい規制が課せられている廃棄物を収集運搬するときに必要な許可です。
特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可が必要な廃棄物
揮発油類・灯油類・軽油類(難燃性のタールピッチ類等を除く)、著しい腐食性を有するpH2.0以下の廃酸、著しい腐食性を有するpH12.5以上の廃アルカリ、感染性産業廃棄物、PCB廃棄物などの特定有害産業廃棄物
申請の種類
・新規許可申請
その都道府県で新しく収集運搬業をはじめるときに行う申請です。許可期限は5年です。
後から1品目でも追加すると、また申請書類を作ったり、変更申請手数料も安くはないので注意
して扱う品目は選びましょう。
・更新許可申請
前回の許可から5年(優良認定事業者は7年)が経過し、さらにその許可を継続したいときに行い
ます。更新後の許可期限も5年間(優良認定事業者は7年)となります。
群馬県の場合、許可期限の3か月前から申請を受け付けています。
・変更許可申請
扱う廃棄物の種類を増やしたいときなど、事業の範囲の変更を行うときに必要な申請です。
・変更届
収集運搬車両の追加や役員の変更、事業所の住所を変更したときに行います。取り扱う廃棄物の
追加は、「変更許可申請」になりますので間違えないように注意してください。
届出手数料はかかりません。郵送でも受け付けてもらえます。
・廃止届
産業廃棄物収集運搬業をやめたり、取り扱う廃棄物の種類を減らしたりするときに行います。
変更届同様、届出手数料はかからず、郵送でも受け付けてもらえます。
許可の要件
(特別管理)産業廃棄物収集運搬業の許可を得るには、次の5つの要件を満たしている必要があります。
✔ 事業主や役員などが欠格要件に該当していないこと。
犯罪歴の有無や破産者、成年後見を受けているなどの場合は、欠格要件に該当します。
✔ 事業主や役員が産業廃棄物収集運搬業許可申請に関する講習を修了していること。
「公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター」の講習終了がこれに当たります。
✔ 扱おうとする廃棄物を収集運搬するのに必要かつ適切な施設(車両や容器)を有していること。
例えば、感染性廃棄物を扱う場合、基本的に冷蔵冷凍車を持っていないと許可が出ません。
✔ 経理的基礎要件を満たしていること。
債務超過や3年連続の赤字など、各都道府県により多少取扱いが違います。
✔ 適切・適法な事業計画が立てられていること。
例えば、産廃を運ぶときの飛散防止のための対策や事業資金の調達などの計画がこれです。
※経理的基礎要件については、これを満たしていない場合でも、追加の資料の提出などによって将来
的に要件を満たす可能性があると判断されれば、認められる場合があります。
申請先・申請手数料
申請先
許可を得ようとする各都道府県の担当部署が窓口となります。許可申請の場合、基本的に郵送等で行うことは出来ず、日程を予約のうえ直接窓口に出向く必要があります。
群馬県の場合:窓口は、中部・西部・利根沼田・吾妻・東部の各環境(森林)事務所です。
県内の事業者:その所在地を管轄する環境(森林)事務所、
県外の事業者:いずれでも申請が可能です。また、更新許可申請の場合などは、新規許可申請の際
申請を行った環境森林事務所が窓口となります。
申請手数料
各都道府県の窓口に申請する際に証紙などで手数料を支払います。申請の種類や申請先の都道府県によって、変わるため確認が必要です。
群馬県・埼玉県の場合
産業廃棄物収集運搬業許可
新規許可申請・・・81,000円 更新許可申請・・・73,000円
変更許可申請・・・71,000円
特別管理産業廃棄物収集運搬業許可
新規許可申請・・・81,000円 更新許可申請・・・74,000円
変更許可申請・・・72,000円
東京都の場合
産業廃棄物収集運搬業許可
新規許可申請・・・81,000円 更新許可申請・・・42,000円
変更許可申請・・・71,000円
特別管理産業廃棄物収集運搬業許可
新規許可申請・・・81,000円 更新許可申請・・・43,000円
変更許可申請・・・72,000円
*すべて積替え保管なしの場合。
標準処理期間
申請ののち許可・不許可の判断を下すための審査が行われます。
この審査期間は、群馬県の場合45日間(休日および申請書の補正に要する日数は除く。)です。
つまり、申請から許可までおよそ45日(多少前後することがあります。)はかかりますので、早く許可を取得しなければならない場合は、講習の受講や申請書の作成など早めの準備が必要です。
埼玉県・・・43日間(休日および申請書の補正に要する日数は除く。)
東京都・・・60日間(休日および申請書の補正に要する日数は除く。)
*やはり、そのときの申請の受付量などにより前後します。
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